《動かないと人は病む/カイロプラクター北川直樹》

人の体は運動するようにデザインされている
体の衰えを感じた時に「私も年だからね。」というやり取りを見かけることがよくあると思います。
確かに、人は生まれてから死ぬまでに老化という現象から逃れることはできません。
しかし、体の仕組みを紐解いて行くと「老いるから動けなくなるのではなく動かなくなるから老いるのである」ということが分かります。今回はそんな運動についてお話していきたいと思います。
生きるためには刺激が必要
神経の最高中枢である脳は五感(光、音、匂い、味、触覚)や固有受容感覚(関節、筋、腱の位置や運動に関する感覚情報)、前庭感覚(重力に対する体の位置情報)といった外から体に入ってくる刺激(感覚情報)によって外部環境(世界)を知覚しています。
脳はその刺激を元に計算処理を行うことで、外部環境に対する反応が身体活動、精神活動といった形で現れます。私たちが日頃から自発的に行っていると思っている身体活動、精神活動は、実は外界からの刺激がなければ起きないもであり、そのため脳は「受容ベース」といわれています。
その中でも最も重要な感覚が、固有受容感覚(と前庭感覚)と言われています。では、刺激がないと人はどうなってしまうのでしょうか?

刺激が少ない人に現れる変化とは?
固有受容感覚(と前庭感覚)の刺激が少ない環境にいる人、それは無重力空間にいる宇宙飛行士です。
航空学の研究では、無重力空間という刺激の少ない環境で過ごす宇宙飛行士に起きる神経系への影響がわかってきています。
脳の萎縮、精神疾患、平衡感覚の低下、反応速度の低下、認知機能の低下、免疫機能不全など、これらは神経機能の低下を引き起こす脳損傷や神経疾患などと同様の変化です。
つまり、刺激が少なくなると体をコントロールする神経機能はどんどん低下していってしまうのです。
それでも体はベストを尽くす
私たちの体は、私たちが思っている以上に優秀です。
何か問題が起きたとしても、私たちの体は環境に適応し、遂行すべき機能を果たすため、ありとあらゆる代償を生み出します。
それは本当に素晴らしいことですが、その代償によって非効率な活動が生み出され、痛みや症状に繋がってしまうことがあります。
特に体から脳に伝えられる固有受容感覚の質や量が低下すると、外部環境に対する反応が非効率なものに変化してしまうのです。
となると、質、量ともに十分な固有受容感覚を脳へ伝えること、つまり運動が健康を維持するためにとても重要であることがわかります。

運動が体に有益であるという知見
ここで、運動に関する情報を列挙してみることにしましょう。
・米国CDCは中〜高強度の有酸素運動を1週間に2時間半、筋力トレーニングを2日間以上行うことを推奨している。
・定期的な運動が健康増進と病気の治癒に有益であることは明らか。
運動の効果は大きく、薬のように”処方”されるべきである。ただし、個人にあった適量を見極める必要がある。(2012.Vinaら)
・どのような人にも運動は有効的である。1週間に150分程度の中〜高強度の運動を行うことが推奨されるが、単純に身体活動を増やすだけでも健康への効果がある。(2017.Warburtonら)
・活動度の低い生活習慣は、肥満や代謝機能を低下させ慢性疾患に繋がり、深刻な健康問題を招く。定期的な運動は代謝機能に影響する遺伝子発現に大きく関与しており、慢性疾患のリスクを減らすのに大きな効果がある。
・1日13時間以上座っている人は、11時間以下の人と比べて死亡率が2倍であった。しかし、連続して座っている時間が30分未満で頻繁に立ち上がっている人は、そうでない人に比べ死亡率が55%低下する。座っている連続時間、合計時間が増えれば増えるほど深刻な病気と関連性が増加する。立ちっぱなしの方が座りっぱなしよりも健康的というわけではないが、少なくとも30分ごとに動き回ることが推奨される。(コロンビア大学)

痛みと運動について
運動は良いものですが、痛みが出ている場合は運動を開始するタイミングや強度は考慮されるべきでしょう。
というのも、痛みによって体の運動制御が変化するからです。体は痛みを出さないように筋肉の活動に抑制をかけたり、他の筋肉に代償させたりします。
そのため筋肉間の活動バランスも変化し、効率的な活動から逸脱し非効率的な生体力学を生み出します。
それが長引けば、今はまだ損傷していない組織(筋、関節、神経など)の損傷へと広がっていきます。
痛みが出ている状態で運動を始めてしまうと、非効率的な動作で行う運動によって体の損傷を更に押し進めてしまう可能性があります。
そのため、まずは痛みの原因を取り除いた上で行うことが望ましいのです。

質の高い固有受容感覚を送るために
質が高く、十分な量の固有受容感覚の刺激を脳に送るためには運動も大事ですが、その前庭として当然ですが関節がしっかりと動いている必要があります。
カイロプラクティックでサブラクセーションと呼んでいる箇所には、必ず可動性の減少を伴い、本来あるべき関節の動きができなくなっています。
その状態を放置したまま日常生活を送ることで、神経、靭帯、筋、関節といった周囲の組織に損傷が起き機能不全を引き起こし痛みや症状に繋がってしまうのです。
カイロプラクティックで行うアジャストメントは関節の可動性を正常化し、周囲の組織へのストレスを低減します。
また、可動性が正常化することにより、より質の高い(より正確な)固有受容感覚を脳へと送ることができるようになり、体をコントロールする脳の老化を防ぐと同時に、パフォーマンスも向上するのです。
カイロプラクティックが日々の健康を支えるというのには、こういった理由があるわけですね。
あなたの今と未来の健康のためにも、ぜひ定期的なケアを続けていただければと思います。

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